Ducati・Moto Guzzi・Aprilia等のMagneti Marelli ECUに接続し、診断・マップ読み書き・各種リセットを行うための無償ソフトウェアの解説ページです。
IAWDiagは、Magneti Marelli製ECUを搭載したバイクの診断・設定変更を行うための無償のオープンソースソフトウェアです。元々Moto Guzzi向けに開発されたGuzziDiagの汎用版として配布されており、DucatiやApriliaなど幅広い車種に対応しています。
Ducatiで使用されているMagneti Marelli ECUの主な型番です。車種とECU型番の対応を確認してからソフトウェアを選択してください。
| ECU型番 | 主な対応車種 | Reader/Writer |
|---|---|---|
| 5AM | Monster 1000/S2R/S4R/S4RS、Multistrada 1000/1100、Hypermotard 1100、ST3、748/998系 | IAW5xReader / IAW5xWriter |
| 5AMB | Monster 696/796/1100 EVO、Hypermotard 796 | IAW5xReader / IAW5xWriter |
| 15M / 15RC | Monster 400/600/620/800、SS800/1000 | IAW15xReader / IAW15xWriter |
| 7SM | (Moto Guzzi California 1400等) | IAW7SMReader / IAW7SMWriter |
上記2点のセットが Lonelec(lonelec.co.uk) で入手できます。品質が保証されており、最も推奨されている購入先です。Amazonや中国製の安価なケーブルはFTDIチップが偽造品の場合があり、正常に動作しないことがあります。
ケーブルに付属のCDのドライバーは使用しないこと。griso.orgで配布されているドライバー(CDM21228_Setup.zip)を使用する。インストール後、PCを再起動する。
ダウンロードしたzipファイルを任意のフォルダに解凍する。インストーラーは不要でそのまま実行できる。
ECUに対応したReader(例:IAW5xReader)とWriter(例:IAW5xWriter)も同様に解凍する。IAWDiag本体とは別のフォルダに保存しておくとわかりやすい。
ケーブルをPCに接続し、デバイスマネージャーで割り当てられたCOMポート番号を確認しておく(例:COM4)。この番号は後で使用する。
OBD2ケーブルと3ピンアダプターの16ピンコネクター同士を接続する。次に3ピン側をバイクの診断コネクターに接続する。Ducatiの診断コネクターはECU近く(シート下前方)にある。
3ピンケーブルのクリップをバッテリー端子に接続する。赤=プラス、黒=マイナス。OBD2ケーブルのLEDが点灯すれば正常に電源が供給されている。
OBD2ケーブルのUSB端子をPCに接続する。
を開き、COMポートとECU型番を設定する。設定後、ダイアログを閉じる。
をクリック。指示に従いイグニッションキーをONにする(エンジンは始動しない)。接続が成功すると各種センサー値がリアルタイムで表示される。
書き込み作業を行う前に、必ず現在のマップをバックアップしてください。これは最重要の手順です。
IAWDiag本体ではなく、ECUに対応したReader(例:IAW5xReader)を起動する。
ドロップダウンから正しいCOMポートを選択する。複数ある場合は最も番号が大きいものを試す。
保存先フォルダとファイル名を指定してSaveをクリック。ファイル名は日時を含めてわかりやすくしておく(例:multistrada1100_original_20240101.bin)。
指示が出たらイグニッションキーをONにする。読み出しが開始される。ECUの種類により数分〜30分程度かかる。
読み出し完了のメッセージが表示されたらキーをOFFにする。BINファイルが保存されていることを確認する。
ECUに対応したWriter(例:IAW5xWriter)を起動する。IAWDiag本体やReaderは起動しないこと。
「…」ボタンをクリックして書き込むBINファイルを選択し「Load」をクリック。ファイルが表示されない場合は誤ったWriterを使用している可能性がある。
画面右下に表示されるチェックサム(数値)をマップ提供元から入手した値と照合する。一致しない場合は書き込まないこと。
指示に従いイグニッションをONにする。アップロード(uploading)→プログラミング(programming)の順に進む(ECUにより数分〜15分程度かかる)。完了メッセージが出たらOKをクリックしてキーをOFFにする。
IAWDiagをECUに接続した状態で を開くと、各種アクチュエーター操作・リセット機能にアクセスできます。
| 機能名 | 内容 | エンジン状態 |
|---|---|---|
| TPS Reset | スロットルポジションセンサーの基準値リセット | 停止 |
| Reset Autolearning Parameters | ECUの燃料トリム学習値をリセット | 停止 |
| Handle Self Learning | スロットルハンドルセンサーの再学習(7SM系のみ) | 停止 |
| Throttle Self Learning | スロットルボディの再学習(MIUG3・7SM系) | 停止 |
| Fans Test | 冷却ファンの動作確認 | 停止 |
| Injectors Test | インジェクターの動作確認(クリック音が聞こえる) | 停止 |
マップ書き込み後やスロットルボディ交換後に必要な作業です。
を開く。エンジンは停止した状態で行う。
「Engine Off」欄のドロップダウンから「TPS Reset」を選択し「Start」をクリック。完了ダイアログが表示されたらOKをクリック。
スロットルを少し開いて完全に戻す。
同じ手順でもう一度TPS Resetを実行する。二回行うことでより安定した結果が得られる。
Monster 1000/1100 / Hypermotard 1100:約 4.6 〜 4.8
リセット後にIAWDiag画面のTPS表示値がこの範囲に収まっていることを確認してください。大きくずれている場合はスロットルボディやTPSセンサーに問題がある可能性があります。
COトリムは5AMおよび15RC ECUのみ対応しています。新しいマップを書き込んだ後や、アイドルが不安定な場合に微調整します。範囲は-128〜+128です。
エンジン温度が60℃以上になるまで暖機する。IAWDiagを接続した状態でモニタリングできる。
60℃に達したらキルスイッチを押す(エンジン停止)。 を選択。
指示に従いエンジンを始動。「+」「-」ボタンで値を調整する。各調整後は約15〜20秒待ち「Finish」ボタンを押して反映させてから効果を確認する。
アイドルが低い・ガクガクする → プラス方向に調整(+3〜+5から試す)
未燃焼ガスの臭いが強い → マイナス方向に調整(-5から試す)
±10を超える調整が必要な場合は、マップが車両の仕様に合っていないか、TPS未リセット・スロットル未学習などの機械的な問題が疑われます。
整備後にダッシュボードに表示される「SERVICE」インジケーターをリセットする手順です。
通常の接続手順でIAWDiagをECUに接続する。
を開き、ドロップダウンから「Reset Service Indicator」または「Service Reset」を選択して「Start」をクリック。
IAWDiagでは、ECUに記録された故障コード(DTC:Diagnostic Trouble Code)の読み出しと消去が可能です。チェックエンジンランプが点灯した場合や、整備後のコード消去に使用します。
通常の接続手順でIAWDiagをECUに接続する。接続後、 を選択する。
ウィンドウ上部に検出された故障コードが表示される。コードが表示されない場合は現在エラーなしの状態。表示された場合は内容をメモまたはスクリーンショットで記録しておく。
を開き、ドロップダウンから Clear Stored Data を選択して「Start」をクリックし、指示に従って操作する。
消去後、再度 を開いてコードが消えていることを確認する。根本原因が解決されていない場合はコードが再発生する。
一部のECU(Aprilia RSV4等)では P0611 コードが通常の消去操作では消えない場合があります。
この場合はActorsの Stored Data Download を先に実行してからClear Stored Dataを実行することで消去できます。IAWDiag V0.48以降で対応しています。
セキュリティソフトが誤検知することがありますが、公式配布元(von-der-salierburg.de)からダウンロードしたファイルであれば問題ありません。セキュリティソフトの例外設定に追加するか、一時的に無効にして作業してください。
7SM系ECUでHandle/Throttle Self Learningを行った後に表示される場合があります。Handle Self Learningを再度実行し、「Finish」ダイアログ後にキーをOFFにせずそのままThrottle Self Learningを続けて実行することで解消します。
Writerの選択が誤っている可能性があります。例えば5AM用のBINファイルは5AM用のWriterでしか認識されません。ECU型番とWriterの組み合わせを再確認してください。